あらすじ
目を覚ますと、見知らぬ屋敷の一室で、私は死体の傍らに座っていた。
記憶はない。名前だけが、頭の中に微かに残っている。——エスト。それ以外は、何も。
周囲を取り囲む兵士たち。密室。凶器のない傷。そして、内側から閉ざされた扉。
「お前が殺したのか」
違う、と答える代わりに、私は静かに部屋を見渡した。おかしい。何かが矛盾している。まるで、答えがすぐそこにあるのに、誰かに隠されているような——
私は、この世界のことを何も知らないはずだった。なのに、なぜか"分かって"しまう。魔法の構造も、法則の綻びも、まるで最初から、自分がその全てを創ったかのように。
――そう。私は、根源の創造神。
あらゆる次元と時間を超越し、この世界そのものを生み出した、最初の神。
だが今は、記憶と力の大半を封じられ、ただの人間として、殺人事件の容疑者にされている。
なぜ、自分が創った世界に、自分自身が"堕とされた"のか。
その答えを知る者は、まだ誰もいない。
私はただ、目の前の謎を一つずつ、解いていくしかない。
これは、全てを知るはずだった神が、何も知らない探偵として、真実を拾い集めていく物語。