あらすじ

かつて実業団の下部チームで走っていた二十九歳の久世玲司は、故障と退職をきっかけに競技の世界から転落し、借金を抱えていた。 追い詰められた玲司が目をつけたのは、優勝賞金百五十万円の女性限定マラソン大会。女声やメイク、ウィッグ、体形補正具を駆使し、二十二歳の女性ランナー「白鳥凛音」になりすました玲司は、偽りのゼッケンを胸にスタートラインへ立つ。 計画どおり先頭集団に食らいつく玲司だったが、前年三位の実力者で、派手なギャル系ランナーの黒瀬美桜だけは、凛音の不自然な姿勢や走り方を見逃さなかった。 「外見は自由。でも、競技の条件まで偽っていいわけじゃない」 補正具のずれから疑いを深められた玲司は、コースを離脱。髪型やメイク、体形を変えて別人を装い、再び大会へ潜り込む。しかし、美桜は変装では隠せない玲司の“走りの癖”を見抜いてしまう。 賞金を求めてゴールへ突き進む偽りのランナーと、正当な勝負を守ろうとする女性選手。海沿いのマラソンコースで繰り広げられる追走の果てに、玲司の作り上げた「白鳥凛音」は崩れ始める。 これは、勝てる場所を盗もうとした男が、失格と敗北を経て、もう一度自分の名前でスタートラインに立つまでを描く、競技サスペンスと再生の物語。

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小説を読もう2026/08/02
  • 現在の作品偽りのゼッケン