あらすじ
山間の小さな町の書店で働いている21歳の成人男性・九条(くじょう)は、夜の町で小柄な女の子と出会う。
レースやフリルをふんだんに使った着物風の膝丈ドレスに編み上げブーツ姿の女の子が差し出した一枚のちらしには、ショップ『まある』の文字と、『その想い、残しませんか』の言葉が記されていた。
紗都(さと)と名乗った少女は、サトリというあやかしと人間の混血で、他人の想いを感じ取ることができ、またそれを想珠(おもいだま)という珠にすることができるのだという。
ショップ『まある』では、想珠をアクセサリーや和風小物などに細工し、客に渡していた。
目の前で紗都が想珠を作るのを見た九条は、想珠に心惹かれる。
紗都に付き従うことになる九条だったが、彼は三年前に起きた大戦で家族と親友を失った天涯孤独の身で、自分の居場所を求めていた。
また彼には異国の血も流れており、髪の色や瞳の色が異なることをコンプレックスに思っているところがあった。
紗都が危機に陥った時、九条は武器を持って戦った戦争時の経験から、紗都を危険に陥れた相手を殺そうとする。
それがきっかけとなり、ふたりは行動を別にすることを決意するが、数か月後、偶然出会ったとき、紗都の身には再び危険が迫っていた。
九条の活躍で紗都は窮地を脱するが、紗都を狙うのは政府で、彼女の能力を戦争や外交に利用しようとしているのだとわかる。離れているあいだに、互いに一緒にいたいという想いを強くしていたふたりは、ともに国外へ逃亡する。
紗都は、九条の「自分のせいで周りの人間が不幸になる」という思い込みを払拭させるためにも幸せになると決意し、九条はようやく得た居場所を、紗都を、なにがあっても守りきると心に決める。
そうしてふたりはともに各地を巡ることになる。
旅先で多くの人と出会い、ショップ『まある』の出張営業をしながら。