あらすじ
地方都市で小さな自動車整備工場を営む「有限会社ミソラ」。どん底の経営難を乗り越えて立ち上げたこの場所では、今日もけたたましいシャッター音とともに、美空家の賑やかな一日が始まる。
元社長で頑固な会長の夫・正志、不器用で甘ややかされて育った社長の息子・孝志、そして中学時代のいじめと親の離婚が原因で自室に引きこもりがちな孫娘・沙也加。外では「社長」として振る舞う孝志も、娘の不登校や自身の将来に対しては自信を持てず、どこかだらしのない日々を送っていた。そんな不器用な家族を、母であり妻である美鈴は、毎朝フライパンを叩いて叩き起こし、切り盛りしながら温かく見守り続けている。
家族それぞれが前に進もうともがき、沙也加も少しずつ歩み寄りの兆しを見せ始める中、美鈴は愛する家族の現状を憂いていた。自分がいなければ何もできないだらしのない夫と息子、そしてきっかけを掴めずにいる孫娘——。
「このままでは、この家族はダメになる」
一歩を踏み出せない家族たちの背中を強く押し、自立させるため、美鈴はある“大きな決意”を固める。それは、「ボケたふり」をして家族の前で一芝居打つことだった。
しっかり者の母が突然見せた「崩壊」に揺れ動く美空家。母の異変をきっかけに、止まっていた家族の時計とそれぞれの人生が、本当の意味で大きく動き始めていく。