あらすじ
あらすじ
映画やドラマの撮影現場には、監督でも、脚本家でも、マネージャーでもない。けれど、役者の心と体を守るために、絶対に必要な仕事がある。
キスシーン。抱擁。ベッドシーン。肌の露出。
「物語に必要だから」
「本気で演じているんだから」
「これくらい、役者ならできるだろう」
そんな言葉で押し切られがちな“親密なシーン”に、同意と安全と技術を持ち込む専門職。
それが――インティマシー・コーディネーター、通称ICだ。
役者が安心して芝居に集中できる環境。そして、観客には本物以上に本物に見える映像。そのすべてを設計する、撮影現場の“見えない防波堤”である。
新人IC・相沢みのりは、そんな仕事に憧れ、国内最高峰のIC事務所「ICアライアンス」に飛び込んだ。
しかし、彼女の指導役として現れたベテランIC・早乙女晶は、金髪オールバック、柄シャツ、サングラス、そして昼間から酒の匂いを漂わせる、どう見ても堅気に見えない男。
口は悪い。態度も悪い。説明は雑。酒を「ガソリン」と言い張って事務所で飲み明かす。こんな人が、役者の繊細な心と体を守る仕事をしていいのか――!?
マニュアル通り、誠実に、正しくICの仕事をしようとするみのり。一方の早乙女は、現場を一目見ただけで空気を読み、役者の呼吸、視線、指先のこわばりから危険を嗅ぎ取る、規格外のICだった。
そんな早乙女に、制作陣は反発する。監督は怒る。プロデューサーは渋る。マネージャーは「本人がやると言っている」と押し切ろうとする。
だが、早乙女は一歩も引かない。
役者の同意は、ただのサインではない。「やります」と言わせることが安全確認ではない。本当に守るべきなのは、役者が断れない空気そのものだと。
それは、みのりが教本で学んだICとはまるで違う、荒っぽくて、泥臭くて、けれど誰よりも役者に寄り添う“本物のICの技術”だった。
役者を守るために撮影を止めるのか。役者の覚悟を信じて撮影を続けるのか。触れないからこそ、魂は届く。これは、役者の心と体を守りながら、最高の映像を作り出す――新感覚のお仕事エンターテインメント!