あらすじ
スキルの公式表記は、すべて〝誤訳〟かもしれない――。
二十年前、ダンジョンとともに人類に与えられたスキル。その説明文《公式表記》は神語の自動翻訳であり、原文を読める者は誰もいない。
ただ一人――万年E級鑑定士・灰江透を除いて。
「客の夢を壊す嘘つき」とギルドをクビになった透は、ヤケクソで深夜配信を始める。
その名も『ハズレスキル、再査定します』。視聴者、たったの3人。
だが。
【初級ヒール】の原文は《根源治癒》――生命そのものを書き換える神の御業。
【錆びた剣製造】の原文は《万象腐食の刃》――触れた万物を朽ちさせる概念の刃。
透が原文を読み上げるたび、「ハズレ持ち」と蔑まれた人々は最強へと覚醒していく。
本人は絶版の古辞書が買えれば満足。
だが、無自覚に人類最強を量産する男の噂は、やがて本物の「人類最強」の耳にも届き――
「……白鷺澪さん。あなた、あと2年で死にますよ」
これは、誤訳だらけの世界でただ一人の〝読み手〟が、間違って伝えられた言葉を、正しく届けていく物語。