あらすじ
都内の広告制作会社で働く瀬戸直人、二十八歳。頼まれれば断れず、誰の期待にも応えようとしてきた彼は、ある小さな仕事のミスをきっかけに心身の限界を迎える。
深夜、直人は目的地も決めないまま、愛車のミニクーパーで東京を離れた。
海辺のゲストハウスで働く女性、山あいの無口な喫茶店主、一人旅を続ける元看護師、将来に迷う古書店の少女、古い整備工場の元整備士――。旅先で出会う人々もまた、それぞれの痛みや後悔を抱えていた。
会話を交わし、食卓を囲み、ときには衝突しながら、直人は少しずつ気づいていく。
逃げることは、終わることではない。
助けを求めることは、弱さではない。
逃げるために走り出した道は、いつしか誰かに会うための道へ変わっていく。
これは、壊れかけた青年が小さな車とともに日本各地を巡り、自分の人生のハンドルを握り直す、静かな再生のロードノベル。