あらすじ
伯爵令嬢アリシアは、八歳の頃から十二年間、地下礼拝堂に鎖でつながれていた。彼女が持つのは、他人の傷や毒を自分の体へ移す〈身代わりの恩寵〉。父はその力を利用し、治療の功績と帝国皇太子へ送る手紙を異母妹ミレーヌのものとして偽っていた。婚約披露の日、父は妹の奇跡を演出するため、皇太子レオンハルトへ毒矢を放つ。アリシアが毒を引き受ければ、皇太子は救われ、妹は真の聖女として認められる。たとえアリシアが死んでも、誰も困らない――そうなるはずだった。だが意識を取り戻したレオンハルトは、鎖につながれた彼女の反応と家族の嘘から真実を見抜く。帝国へ救い出されたアリシアは、「もう誰の傷も命令では背負うな」と告げる尊大で優しい皇太子に溺愛され、自分の人生を選ぶことを覚えていく。