あらすじ
「君は味見しかできない女だ」
大晩餐会の卓で、王太子殿下はそう仰いました。
おっしゃる通りでございます。わたしにできるのは、味見だけ。
ですから、検味官の職を返上いたしました。
引き継ぎ書は三十七ページになりましたが、殿下は三枚目で読むのをおやめになりました。
四日目に、王宮の竈の温度が揺れ始めます。
七日目に、仕入れの検査が止まります。
十四日目の晩餐で、北方の使節に鹿肉が出されます。
どれも、味見の範囲のことでございます。
わたしは下町で食堂を開きました。
恨んではおりません。本当に、少しも。
ただ、おいしいものが食べたかっただけなのです。四年間、ずっと。
※静かに進むざまぁです。断罪も溺愛もありません。
※短編・完結済み