あらすじ

四十七歳の現場監督・黒崎五朗は、若い作業員をかばい、高所の足場から転落した。 次に目を覚ましたのは、魔法と魔獣が存在する異世界。特別な力も、伝説の武器もない。身につけていたのは空調服、安全帯、使い慣れた腰道具だけだった。 五朗が最初に出会ったのは、崩れかけた魔法水路と、事故を前に立ち尽くす人々だった。 「全員、そこから離れろ。まず人数を数えるぞ」 荷重を読み、足場を組み、危険な作業を止める。五朗にとって当たり前の現場仕事は、命を使い捨てる異世界では誰も知らない技術だった。 やがて彼は、治癒術師リシェル、ゴブリンの記録係ミミル、エルフの技師、ドワーフの職人、勇者たちと手を組む。調査を進めるうち、各地で起きる崩落事故と、巨大な魔王城を結ぶ秘密が見え始めた。 だが魔王城は、剣で斬れば終わる城ではない。水路、排熱路、地下炉、六本の固定具。壊し方を誤れば、敵も味方も、城下の人々まで巻き込んでしまう。 必要なのは勇者の一撃ではなく、図面と段取り、仲間同士の声掛けだった。 高所を恐れる現場監督は、今度こそ命綱を正しく掛ける。 一人で英雄になるためではない。 全員で仕事を終え、生きて帰るために。

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カクヨム
カクヨム2026/08/02
  • 現在の作品異世界転生した現場監督、空調服と腰道具だけで魔王城を攻略する――今日も全員、ご安全に