あらすじ
雨の匂いがする街、灰森(はいもり)市。七年前、この街で起きた「四月七日事件」で、少女がひとり死んだ。名前は、白瀬(しらせ)雪那(ゆきな)。事件の唯一の目撃者だった僕・冬野透(とうの・とおる)は、その日から時間を止めたまま高校生になった。
――そして今日、転校生として教室に現れたのは、死んだはずの白瀬雪那と同じ名前、同じ声、同じ痣(あざ)を持つ少女だった。
「はじめまして、冬野くん。わたしのこと、憶えてる?」
微笑む彼女の瞳の奥に、僕は見てはいけないものを見た。これは再会か、告発か、それとも――七年越しの、僕への処刑宣告か。嘘と嘘で編まれた葬列は、静かに、けれど確実に、真実へと歩き出す。