あらすじ

踏み込めば首を落とす。退けば骨を断たれる。 ススキの群生が風に揺れる、白銀の月夜。 冷たい泥土の上で向き合った二人の男は、ただ命を奪い合うためだけに鋼を抜いた。 間合いは四歩半。 静止した時間の中、膠着した空気を引き裂いたのは、一瞬の足場の崩れだった。 他者の命を完全なる沈黙へと叩き伏せ、返り血を浴びて空を見上げる。 穏やかな日常など、とうに腐り果てた泥水に等しい。 手の中の鋼の重みだけが、己がたしかに生きているという事実を証明していた。 ――無音の泥濘に刻まれる、ただ静かで美しい殺戮の夜。

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カクヨム
カクヨム2026/08/01
  • 現在の作品泥濘と白銀