あらすじ
舞台は安政の江戸。徳川御三卿のひとつである一橋家から、奇妙なお触れが出された。
『奥方をひとり募る。
壮健にして聡明、口が堅く、主君のためなら命をも惜しまぬ者を望む』
見分で選ばれたのは、八王子千人同心に武術を教える道場の師範の孫娘、寧々だった。
一橋家当主である慶喜にはすでに正室がいる。だが、生まれた子はなぜか原因不明の病で夭逝してしまった。
世継ぎを得るため側室として迎えられた寧々。しかし寧々にもまた、一橋家へ入ろうとする理由があった。
奥方入りした寧々を待っていたのは、慶喜との初夜のはずであったが――その夜伽の場には、謎めいた若い武士、影丸も居合わせていた。
やがて寧々は影丸とともに、一橋家を襲う「奇病」の謎を追うことになる。その先にあるのは、江戸を揺るがせる運命の荒波だった――。
謎あり、恋あり、戦いあり。
激動の時代を駆け抜ける、若き夜叉姫が紡ぐ江戸異譚ミステリー、開幕!