あらすじ

多様性に疲れ果てた社会が出した結論は、シンプルだった。 「価値観の違う者同士は、無理に共存しなくていい」  同じ思想を持つ者だけが集うことを政府が公式に認め、日本中に無数の自治区が生まれた。相互不可侵。争いは消え、全国のQOL(幸福度)調査は過去最高値を記録した。世界はこの国を、もっとも幸福な社会と呼んだ。  深瀬は、自然派を掲げる自治区で生まれ育ち、十八歳のその日、「区域流動の権利」を使ってそこを出た。  最初にたどり着いたのは、誰も他人を傷つけない――そう掲げる「共感至上区」。だが深瀬はやがて気づく。「傷つけない」という優しさが、いつのまにか誰の本音も許さない圧力に変わっていることに。  能力で人を測る区域。伝統を守り続ける区域。理想の関係を追い求める区域――深瀬は権利を行使し、いくつもの自治区を渡り歩く。どこも、最初は完璧に見える。  人は結局、分かり合えない誰かを見つけ出してしまう生き物なのか。 多様性の是非を問う物語

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カクヨム
カクヨム2026/08/01
  • 現在の作品幸福特区