あらすじ

十年、染屋で藍染の甕を建ててまいりました嫁が、「染めの場に立たせぬ」と見本裂を取り上げられ、口を出さぬ約束を守り抜いて、いまは自分の名で藍を建てております。 灰汁が強い日は水を足す。冷え込んだ朝は藁を焚く。甕が疲れた日は染めない。それを読めるのは、わたくしの目だけ。甕に残るのは建った結果であって、建てた理由ではございません。 約束どおり、一言も口を出しませんでした。ただ三月で、藍が起きなくなりましたわね。わたくしは何も止めておりません。染め講の老女がひとこと仰っただけ——「あの人が寝ずに聞いてたから、藍が起きてたんだ」。 ——染めを頼まれないお家に、見本裂は掛けてまいりました。

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小説を読もう2026/08/01
  • 現在の作品「染めの場に立たせぬ」と義母に見本裂を渡された私は、口を出さぬ約束を守ります——三月で藍が建たなくなりましたわね