あらすじ
「うちのことは、だいたい分かっている」
十の家族が、そう思っていました。
どの家にも、誰かが黙ってやっていたことが、ひとつだけあります。
母の日記を、十年こっそり読んでいた娘。
親の介護費を、ひとりで払っていた弟。
離婚届を十年、引き出しに入れたまま、出さなかった妻。
二十年、家計簿に嘘を書きつづけていた母。
死んだ母の名前で、図書館の本を借りつづけている息子。
妹の学費を、こっそり出していた姉。
黙っていた側にも、気づかなかった側にも、理由があります。
だから、この十話には、悪い人が出てきません。
ただ、分かるのが、いつも遅い。
*
一話完結の連作短編です。第九話までは、どの話から読んでも構いません。
最終話だけ、最後に読んでください。
救われる話も、救われない話も、どちらとも取れない話もあります。
どれになるかは、読み終わるまで分かりません。
この物語には、教訓が書かれていません。
「親を大切に」も「後悔しないように」も、一行も出てきません。
意味は、読んだ人が決めるものだと思っています。
1話9分、全10話。毎日21時に更新します。
疲れていても読めるように書きました。難しい言葉は使っていません。