あらすじ
神の欠片を滅ぼした審判の国から、一年。「リオ」は、未来を視る力を失ったまま、今日も銅貨三枚の鑑定を続けていた。押しかけ弟子のミレアは見習い二年目、東方ではセティの二軒目が繁盛している。穏やかな、日常だった。
そこへ、記憶を失った一人の男が訪れる。「あなたに、私の失くしたものを、鑑定してほしい」――男の空白を視たリオは、凍りつく。その失われた記憶の中に、リオ自身が失ったはずの"相棒の夏"の、断片が混じっていた。
なぜ、他人の記憶に、俺の失くした夏がある。
二つの喪失の糸を辿った先で、リオは、ついに知る。自分が五年前から払い続けてきた対価――母の声も、相棒の夏も、名前も、未来も――そのすべてを"貸していた"存在の名を。
因果の貸し主。この世界の理そのもの。神を生み、勇者を選び、リオに力を貸し、利子として記憶を取り立て続けた、古き仕組み。
「――返しに来た」
未来の見えない鑑定士が、東方から駆けつけた相棒セティと、思い出せない相棒アルドと共に、最後の依頼に挑む。借りたものを、耳を揃えて返すために。
シリーズ完結、全20話。