あらすじ
未踏地は、まだ読まれていない余白。
遺跡は、解釈を待つ本文。
世界の果てに広がる巨大未踏領域〈忘却の外縁〉。
そこを調査する冒険者に求められるのは、腕力だけではない。
文字を、痕跡を、環境を、そこに残された意味として読む力だ。
元の世界で司書だった間宮梓は、今では冒険者として登録し、フリーの探索者兼高位解読士として働いている。
現場で呼ばれる通り名は〈ミス・リブラリアン〉。
本人はまったく気に入っていない。
彼女の武器は、司書として培った調査力と、生来の言語感覚。そして、それを後押しする権能《語学理解》。
古代語も精霊語も、魔物の警戒信号も、建物が示す導線さえ、一種の言語として読み解く。
だが、その権能にも読めないものがある。
この世界のどの言語にも属さない、存在しないはずの文字。
それは、梓が元の世界へ帰るための手がかりかもしれなかった。
帰還の手がかりを求めて。
書庫兼自宅のローンを返すため。
そして何より、自分にしか読めないものを放っておけないせいで、梓は今日も危険な依頼へ出向く。
依頼受諾、現地調査、読解、解決、帰還、そして報告。
剣だけでは開かない場所を、読解で突破する。
静かに本を読んで暮らしたい元司書が、望まぬまま世界の余白をめくっていく、異世界お仕事冒険譚。