あらすじ

人を救うのに必要なのは、力ではない。 相手を止めるのに必要なのも、力ではない。 事件を解決するのに必要なのも、力ではない。 ただ、その人の話を聞くことかもしれない。 特殊能力者が広く認知され、能力の強さや有用性によって、人間の価値まで決められるようになった現代。 他人の心の声が聞こえる青年・マキバダイスケは、人々の悪意や苦痛を受け取り続け、生きる意味を失い、自ら命を絶とうとしていた。 そんな彼を拾ったのは、特殊能力者による事件や揉め事を処理する小さな民間事務所――「特殊対策室」だった。 そこでは、職員たちが強大な特殊能力で敵を制圧し、時には命さえ奪っていた。 その惨状を目の当たりにしたマキバは、敵を打ち倒すのではなく、相手の心に耳を傾け、怒りや恐怖、孤独を言葉にすることで、暴走した者たちを救おうと決意する。 だが、圧倒的な力を持つ者も、心まで強いとは限らない。 国内最強と呼ばれる男も、重力を操る女も、神に近い力を持つ者も、本当はひどく脆い。 愛情、承認、許し、帰る場所――力では手に入らない何かを求めながら、それをうまく言葉にできずにいる。 特殊対策室に集まるのは、心の闇を抱え、社会や家族から孤立した者ばかり。 口汚く罵り合い、くだらないことで喧嘩し、時には互いを深く傷つける。 それでも、騒動と罵声と笑いの絶えない日々の中で、彼らは少しずつ誰かの居場所になっていく。 心が読めても、人間のすべてはわからない。 それでも、話を聞くことはできる。 異能を「戦う力」ではなく、人間の孤独と渇望を映すものとして描く、群像ヒューマンドラマ。 これは、水晶の瞳を持つ青年と、強くて弱い特殊能力者たちが、不格好な家族のような居場所を作っていく物語。

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小説を読もう2026/08/01
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