あらすじ
拝島優灯は、自分には何もないと思っている。
目立った才能も、誇れるような個性もない。
誰かの輪の中に混ざり、その場の空気に合わせて笑う。そんなふうに過ごしていれば、何事もなく高校生活を終えられると思っていた。
好きな人はいる。
誰にでも優しく、いつも笑顔で、学年中の人気者である高濱翠莉。
一年生の春からずっと彼女を見てきたけれど、自分が隣に並べるはずもないと思っている。
一方、同じクラスの御谷綺ヰは、何を考えているのかわからない。
頭がよく、他人に媚びず、一人でいることを恐れない。
優灯とはまるで違う人間だった。
高校二年生の春。
変わらないと思っていた毎日は、ほんの些細な出来事から、少しずつ形を変え始める。
遠くから見ているだけだった人。
何も考えていないと思っていた人。
怖いと思っていた人。
自分とは違うと思っていた人。
同じ教室で毎日顔を合わせていても、他人の本当の気持ちなんてわからない。
そしてきっと、自分自身のことさえも。
これは、一つの教室で過ごす十人が、恋をして、すれ違って、間違えて、少しずつ互いのことを知っていく物語。