あらすじ

「減らさずに返せ」——二十四人を預かった小隊長レイヴァンは、その日から一人ずつ、大切なものを数え損ねていく。 分かたれているから、人は争う。ならば一つに束ねることこそが救いである——一統の福音。それを、レイヴァンは本気で信じていた。故郷は帝国に束ねられて平和になった。だから彼は、帝国の剣として何も疑わなかった。 だが、攻め落とした村に人の姿はない。皆、彼らが来ると知って、冬の山へ逃げていた。「よくやった」と褒められるたびに、レイヴァンは自分が何を失っているのか分からなくなる。隣で笑っていた戦友も、いつしか一人、また一人と欠けていく。 そして下された、王家根絶やしの命令。彼は王妃を手にかけ——その子を殺せずに、抱いて逃げた。 十七年後。腹を貫かれて倒れた彼の傍らで、少女が泣いている。かつて彼が奪った国の、最後の生き残りだった。 信じた福音は、いつしか業に変わっていた。 これは、正義を疑わなかった男が、加害者に堕ちるまでの記録。救いのない物語を、最後まで見届けてくれる方へ。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
小説を読もう
小説を読もう2026/08/01
  • 現在の作品業の福音 〜征服こそ正義だと信じていた男は、その手を汚し続けた〜