あらすじ
百年に一度、二つの王国は女神から「救国の治癒師」を授けられる。
北の大国ヴァルガス王国が選んだのは、あらゆる傷も病も瞬時に治す唯一無二の天才――《神の手》セレナ。
一方、南の小国アルトリア王国に残されたのは、治癒魔法を一日に一度しか使えない、名もなきモブ治癒師九十九人だった。
世界中が笑った。
「天才一人と、役立たず九十九人。勝負になるはずがない」
だが、モブ治癒師の一人、ノアだけは気づいていた。
一人で救える命には限界がある。
しかし九十九人が知恵を持ち寄り、薬を作り、衛生を整え、治療法を伝え、次の治癒師を育てれば――。
それはやがて、一人の天才すら届かない“救国の力”となる。
そして三年後。
《神の手》を奪い合った大国では、誰も彼女以外の治し方を知らなくなっていた。