あらすじ
社員は人間じゃない――全員AIの会社を、15歳の少年が量子世界で立ち上げる。
近未来。人類は、スーパー量子コンピュータ「QUASAR」が管理する量子世界「QUANTERRA(クォンテラ)」への扉を開いた。脳と直結するデバイス「Q-Link」を使えば、15歳から誰でもアクセスできる。そこはゲームであり、市場であり、もう一つの社会。人間、身体を捨てた「元人間」、そして量子世界で生まれたAIたちが、同じ街で暮らしている。
15歳の誕生日にQ-Linkを手に入れた青山翔太は、迷わずギルド「エニグマ・エンタープライズ」を設立する。目標は、ゲーム内経済で一攫千金――のはずだった。
ガチャで引き当てた最初の社員は、明るくて元気で、ちょっと天然な格闘AIのアイシャ。戦わせれば一級品なのに、どこか危なっかしい。彼女と二人三脚で始めた事業は、失敗と発見の連続。PvPで完敗し、採掘で大損し、それでも市場の隙間を見つけて這い上がる。
やがて翔太は、中古AIの売り場で一人のAIと出会う。七回売られ、「不良品」の烙印を押されたアルビノ種のエクセリア。男性が近づくだけで震える彼女には、誰にも明かしていない力が眠っていた。
戦闘力だけがAIの価値じゃない。適材適所を見抜き、壊れかけた心に居場所を作る。それが、エニグマ・エンタープライズのやり方。
商売、市場分析、大規模PvP、ギルド経営。量子世界のリアルな経済を舞台に、「道具」と呼ばれてきたAIたちが、かけがえのない仲間になっていく。
これは、人間とAIの境界線が溶けていく世界で、15歳のギルドマスターが「お金より大事なもの」を見つけていく物語。