あらすじ

──あぁ、自分を思い知るということは、なんて苦しく、残酷なことなのだろう── デビュー五周年を迎え、今や飛ぶ鳥を落とす勢いの、六人組男女混合ダンスボーカルユニット、BLUE BIRTH。 彼らは幼少時代、様々な苦難やトラウマを抱え傷付き、その苦しさのあまり自死を選ぼうとしてしまう程の、悲惨な過去を経験してきた。 しかし大人になった今、ステージに立ち夢を掴み取ったことで、自分を誇りに思える人間へと成長していたのだ。 ──普通なら、これでハッピーエンドだ。 過去にそれぞれの傷を抱えた彼らが、それらを乗り越え、希望を手にするまでのサクセスストーリー。 もしもこれが御伽話なら、めでたしめでたし、で物語は締め括られるだろう。 しかし、その栄光こそが、悲劇の始まりだった。 『拝啓 10年後の私へ──』 子供だった自分が書いた手紙を受け取り、それを鼻で笑って燃やしてしまえるような、彼らはそんな大人になっていたのだ。 転機である五周年という節目で、十三歳の少年『葵瑞(あず)』を新メンバーとして迎え入れたことで、彼らの偽りの栄光は、少しずつ崩れ始めていく。 思春期という子供と大人の狭間で葛藤し、それでも誇りを手離すまいと苦しみながらもがく葵瑞の姿に、大人になってしまった彼らは、嘲笑い侮蔑の目を向ける。 そんな時、番組のロケで訪れた無人島で、六人はそれぞれの青い鳥居を見つける。 それを潜った瞬間、最も苦しかった時期の子供の自分の姿と対峙したことで、彼らが栄光を手にすると同時に、失っていたものに気付かされる。 今の自分は、子供の自分を殺すことで生き永らえて来たのだ、と──。 「あんな大人には絶対にならない」という、たった一つの誓いさえ忘れて、手段と目的が入れ替わった強迫観念だけを携えて、彼らが最も忌避していた姿になっているのだ、と──。 そして再び死への誘惑に取り憑かれながら、それでも終わってくれない日々を、ただただ屍のように過ごしていく。 喪失は獲得であり、獲得もまた喪失である。 では本物の救いは、一体何処にあるのか。 これは、そんな彼らの、 ハッピーエンドの向こう側の物語──。

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カクヨム
カクヨム2026/08/01
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