あらすじ
島根県東部、出雲地方の山深い村――御鉄(みかね)村。
古くからタタラ製鉄で栄えたこの土地では、「鬼鉄(おにがね)」と呼ばれる特殊な鋼が作られていたという。戦国時代、その鋼で鍛えられた刀は異様な切れ味を持ち、持ち主を狂わせると恐れられていた。
近年、廃村寸前の御鉄村周辺で不可解な失踪事件が相次いでいた。
三年前に二人、一年前に三人、そして先月また一人。
共通点は――全員が夜に山へ入り、二度と戻らなかったこと。
さらに奇妙なのは、失踪者の最後の目撃情報だった。
「赤い火の粉が山を流れていた」
「誰かが刀を打つ音が聞こえた」
「霧の中に白い女が立っていた」
その噂を追うため、出雲へ向かう。