あらすじ
「第一印象、マイナス百点。」
軽い調子で話しかけてきた佐藤勇人に、桜子はそう判定を下した。
人の心なんて、心理学を学べば解き明かせる。
ずっと、そう思っていた。
日本舞踊家の父と華道家の母のもとで育った大学三年生・白河桜子は、恋愛経験ゼロの女の子。
そんな桜子の日常は、幼なじみのしーちゃんこと勝木真司がいれば十分だった。
――あのナンパ男に出会うまでは。
落とした学生証を届けてくれたあの日から、なぜか勇人のことが気になってしまう。
しーちゃんといるときと、勇人といるとき。
どちらも大切な「好き」のはずなのに、胸に生まれる感情はどこか違っていた。
そして真司は、幼い頃からずっと桜子を想い続けてきた。
恋愛の「好き」も、人としての「好き」も、本質は同じだと思っていた。
同じ「好き」という言葉を、それぞれ違う形で受け止める桜子と真司。
そして、二人の関係を誤解してしまう勇人。
町おこしのために始まった大学と商店街の「和」のイベントを通して、三人の関係も少しずつ変化していく。
三人がたどり着く「好き」の答えは、教科書のどこにも載っていなかった。