あらすじ
「消費税1%、本日実施!」2027年春、日本中がポピュリズムの大減税に湧く中、フリーランスエンジニアの徹《とおる》は冷徹に未来の破滅を見抜いていた。
巨額の財政赤字、国債の乱発、そして次に起きる凄まじい通貨価値の暴落――ハイパーインフレ。円を現金で持っている奴から順番に、資産が溶けていく。
ならば、やるべきことは一つ。
日本円を価値の落ちない『実物資産《ハードウェア》』へ変換することだ。
徹が秋葉原の路地裏でカードを突きつけ、全力を注ぎ込んだのは総額250万円の怪物PCだった。
・CPU:AMD Ryzen 9 9950X3D
・GPU:NVIDIA GeForce RTX 5090(32GB)× 2基
・RAM:DDR5 128GB・SSD:PCIe Gen5 4TB × 2基(RAID 0構成)
エアコン用の200Vコンセントから電力を引き込み、産声を上げた「完全なるローカル要塞」。
それから10年。
巨大IT企業のクラウドAIが過剰な思想検閲と高額サブスクで使い物にならなくなり、大衆のデバイスが国家の「電子の首輪」に成り下がる中―。
毎年欠かさず完璧な全分解メンテナンスを施され、10年前の『検閲なき初期モデル』を遅延0.000ミリ秒で回し続ける徹のマシンは、文字通り彼を沈没から救い出す「ノアの方舟」へと変貌する。
1ドル380円のディストピアを眼下に見下ろし、142万ドルを海外口座に掴み取った男の、完全なる知的勝利の記録。
※本作は、大衆がインフレに圧殺される別視点の短編『残高不変のディストピア』と対になる、圧倒的強者の資産防衛ハッピーエンドストーリーです。
一挙全4章完結済み。