あらすじ
「あなたの未練も、恐怖も、すべて抱きしめて天へ還します」
冒険者という生き方は常に死と隣り合わせだ。だが、この世界には死よりも恐ろしい「続き」がある。強い未練や絶望を抱いて死んだ冒険者の魂は、愛用していた装備を依り代に呪詛へと変わり、やがて人を襲う怪物「アンデッド」へと成り果ててしまうのだ。かつての仲間が怪物になるのを防ぐため、生き残った者たちは傷ついた形見を抱え、街の片隅にある静かな教会を訪れる。
そこで彼らを迎えるのは、夜色の髪を持つ美しくも身体の弱い祈祷師・セレーナ。彼女の少し後ろでは、身の回りの世話をする修道女が静かに目を閉じて控えている。
彼女は、遺された仲間から故人の生前の姿や最期の戦いを聞き、そして、禍々しい霧をまとう遺品へとそっと触れる。流れ込んでくるのは、仲間の前では決して見せなかった、死への恐怖や生への執着という「故人の本当の声」だった。
自身の体力を削りながらも、その泥臭い本音を優しく抱きしめ、対話を重ねる。やがて未練が消え、浄化された魂はセレーナの手の中で、黄色と白、そして新緑の緑が混ざり合う温かい光の玉へと姿を変える。彼女がその玉を天へと掲げると、魂はあるべき星の海へと還っていくのだった。
これは、美しき祈祷師セレーナが、形見の装備に遺された絆を紐解き、迷える冒険者たちの魂を天へ送り届ける、優しくも切ない一話完結の旅路の記録である。