あらすじ
現代、都市のすぐ隣にダンジョンがある世界。
一流の探索者たちが憧れる最強装備には、共通の刻印がある。 ――《Method》。
武器も、防具も、魔道具も、鍋もテントも作る万能の工房。 工房主も自らダンジョンへ潜る。ただし欲しいのは攻略の栄誉ではなく、次の作品のための素材だ。 短時間で、確実に、素材も周囲も壊さずに。戦うのは、いつもそのためだけ。
考えることはいつも同じ。 「どう作るか」「どう直すか」「試してみるか」。
作品が完成した瞬間、工房の妖精たちが読み上げるのは、世界がその品に定めた"真名"。 真名を持つ一点物はオークションで国家と企業が競り合い、鍋や水筒はTVショッピングで即完売する。
修理に持ち込まれた古い剣が、持ち主の再出発になる。 たった一つの鞄が、引退を考えていた探索者を現役に戻す。
これは、最強の探索者になる物語ではない。 工房から生まれた作品たちが、受け取った人の人生を変えていく―― クラフト職人と、その作品を巡る群像劇。