あらすじ

この世界の人間は、死んでも一度だけ生き返る。代わりに、その人を最もよく知る誰かの記憶から消える。 二度、三度と生き返った者は、やがて誰にも覚えられなくなる。名を失った者は白い異形――《無名》となり、生前の動作をただ繰り返す。この世界の魔物は、全部もとは人間だ。 前世で身元不明者の身元を特定する仕事をしていた黒羽迅は、死後、レヴェナの古い戸籍簿の空欄に名前として書き足され、この世界へ現れた。書き足された名前には灯が与えられない。つまり彼だけが、死んだら二度と戻らない。 彼にできるのはひとつ。無名の癖、利き手、古傷、武器の摩耗から生前を読み解き、失われた真名を言い当てること。名を呼ばれた無名は動きを止め、白い輪郭をほどいて消える。そして十七呼吸のあいだだけ、その者が最後に振るった一撃がジンの腕に宿る。 代償は、自分の名前だ。名を借りるたび、彼の名は世界から薄れていく。 五百年前の《大災》で、十三の都市が地図から消えた。取り戻す方法は、都市の真名を名石の前で読み上げること。だが名前を集めるには、忘れられた者ひとりひとりの生前を、誰かが調べ直さなければならない。 三度生き返って家族全員から忘れられた少女シレンだけが、ジンの名を呼び続けられる。誰にも覚えられていない彼女と、覚えることしかできない彼の、十三都市をめぐる弔いの旅が始まる。

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カクヨム
カクヨム2026/07/31
  • 現在の作品忘れられた者は、本当に消える ~灯を持たない俺は、死者の名を呼んで十三の消えた都市を取り戻す~