あらすじ
国語、算数、理科、社会——そこに突然ならんだのは、【会社】という二文字だった。
六年生になった岩崎カイの学校で、その学年だけの特別授業がはじまる。クラスごとにひとつ会社をつくり、校内だけで使えるお金「校内円」を元手に、商品やサービスを考え、作り、売る。一年かけて、本当に経営する。買ってもらえなければ、つぶれる。
教室の勢いに押し出されて、カイは三組の社長になった。特別講師としてやってきた元経営者・神代は、カイにひとつだけ問う。「社長とは、何をする者だ」。カイは答える。「いちばんえらい人です。指示を出して、決めて、かせぐ人」。神代は、その答えを一年後にもう一度聞く、とだけ言い残す。
ライバルは二人。品質だけを信じる職人肌の一組社長・白石ハルトと、売れてこそ価値だと言い切る二組社長・桝井ナナ。二つの完成された答えのあいだで、三組だけが、自分たちの答えを持たないまま走り出す。
開店初日の大失敗。分裂しかけた仲間。届かない利益。約束を破って泣かせてしまった、一年生の男の子。 そのすべてを通って、カイはようやく気づいていく。社長とは、いちばん前に立って命令する人ではなく、誰かのやりたいことと、誰かの困りごとを、つなぐ人なのだと。
働くこと、売ること、あやまること、そして人にまかせること。
小学校最後の一年をまるごと使った、失敗だらけで、少しだけ誇らしい会社の物語。