あらすじ
主人公は目覚めるや否や、年寄りと赤ん坊に「また記憶を落としてきた」と叱られた。
日が落ちても里に帰らず山に残れば、記憶を喪ってしまうからだ。
山などに向かわず、落ち穂を拾う野良仕事だけを繰り返すよう、言い聞かせられる。
里には老人や赤子、四肢の欠けた者や傷や病を負った者ばかりが暮らしており、誰もが灰を集め、落ち穂を拾っていた。
稲株ばかりが続き、実りのない里だ。
時折、山から下りてくる赤猪や大鴉が人々を襲い、無慈悲に食らっていく。
山で記憶を喪い、里で獣がひとを喰う。
その意味を知る者はいない。
……この里には。