あらすじ
九の月十七日。わたくしは、王弟殿下を毒殺した罪で首を落とされました。
二十一年生きて、無実で、二十一歳でございます。
目を開けると、わたくしは広場に立っておりました。足元に、わたくしが倒れております。
誰も、わたくしを見ません。父も。婚約者だった方も。
ただお一人、若い医官の方が立ち止まって、わたくしの名を呼ばれました。
わたくしが見えるのは、わたくしの死に負い目のある方だけ。
ですから、毒を入れた方でも、それを過ちだと思っておられなければ、わたくしは見えません。
そして。
わたくしにやさしくしてくださるということは、その方に負い目がおありだということ。
――わたくしは、あなたを疑わないわけにはまいりませんの。
しかも、この理は始末が悪うございます。
償いの済んだ方には、翌朝からわたくしが見えません。声も届きません。
つまり、誰かをお救いするたび、わたくしはその方から消えるのです。
わたくしの無実が証されれば、皆様の負い目は晴れます。
そのとき、わたくしを見る方は、この世に一人もいなくなります。
――――数えてまいります。わたくしが見える方を、お一人ずつ。
その数が、あの晩に何が起きたかを教えてくれますから。