あらすじ
『色なしが子どもに遺伝したら困るだろ? 君の姉なら喜んで求婚するが』
全力で挑んだお見合いもかれこれ10連敗中のルーシェ・ホワイトリアは幼い頃から特別な力を持つ出来の良い姉と比べられながら生きてきた。
その昔、魔物に脅かされていたアルカシエル国は虹の光を纏う女神によって救われた。女神は七色の聖力を操り、魔物を退け、その力を一色ずつ七人の人間に分け与えたのが七つの特殊な力を持った虹家門の始まりとされている。
祖先が白の聖力を分け与えられたホワイトリア家。白の聖力は治癒と増強の二種類あり、そのどちらの力にも優れている姉のマグノリアは社交界でも評判の美人。それに比べてルーシェは何の力も持たず、色の力を使えないことから『能力がない』=『色なし』と呼ばれ、実の家族からも冷遇されていた。
聖力が使えない分、家の力になろうと知識や教養を身に着けるために勉強に励み、努力をしてきたが、その甲斐虚しく、お見合い10連敗を見事更新したことで父から『家門の恥』と罵られ、『他に使い道がない』と騎士団に雑用係として奉仕するように言いつけられる。
実質的な厄介払いのため、家を追い出されたルーシェが宿を探していると人を喰らう魔物と遭遇してしまう。
その時、外套を着た青年が魔物から助けてくれるが、急に苦しみ出し、蹲ってしまう。
心配で声を掛けると、『近づくな!』乱暴に振り払われ水路に転落してしまい、溺れそうになっていると、青年が助けてくれるのだが、その青年には顔じゅうに痣があり、酷く具合が悪そうだった。
『もうっ! お礼を言おうとしたら急に蹲るから声を掛けようとしただけなのに、乱暴過ぎません⁉』と怒鳴ってしまう。それはともかく、顔色が悪いので大丈夫かと、声を掛けるルーシェをじろじろと見て目を丸くする青年にルーシェは首を傾げる。
『……水路に落ちるなんて間抜け過ぎ』と嫌味を言われ、腹が立ち言い返そうとするが、『風邪をひかれては寝覚めが悪い』と着ていた外套をルーシェに掛けて去っていく。
その後、騎士団で働き始めたルーシェは入っては行けない場所まで踏み込んでしまい、そこで魔物から救ってくれた青年と再会を果たす。
カシュール・ヴァイオレッドと名乗った青年は騎士団長を務めており、紫色の聖力を持ち、毒を扱う虹家門でも有名な人物。
半年前に魔物の討伐を起こった際に、自分の力の制御ができなくなり、身体を自身の強力な毒に蝕まれているのだそう。
自分の力で部下を傷つけてしまい、退職に追い込まれているという。
無意識に毒素を撒き散らすので離れに隔離されているカシュールは『君、どうして僕に近づいて平気なの? 普通なら今頃、僕から溢れる毒で倒れている頃なんだけど』と毒が効かないルーシェを不思議がる。
カシュールの毒が効かないルーシェはカシュールの力の暴走の原因を突き止めるために強力することになり⁉