あらすじ
交通事故で、すべての記憶を失った高校生・|夏木太陽《なつきたいよう》。
目を覚ました病室に、幼馴染の|日向葵《ひなたあおい》が駆け込んできて、その手を握った瞬間——頭が割れるように痛んだ。
不思議なことに、他の誰に触れても痛みはない。それどころか、触れた相手との記憶が、少しずつよみがえってくる。
なのに、なぜか葵にだけは、記憶のかけらすら戻らず、ただ痛みだけが襲ってくる。
毎日、甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる葵。それなのに、時々こぼす、
意味のわからない「ごめんね」。
クラスメイトの|氷川月乃《ひかわつきの》に触れると、なぜか懐かしい記憶の断片と、説明のつかない胸の高鳴りが返ってくる。まるで、彼女と過ごした時間が、本当はもっとあったかのように。
幼馴染も、クラスメイトも、何かを隠している——太陽はそう感じながら、二人の間で少しずつ、自分の過去に近づいていく。
なぜ、葵にだけ触れられないのか。
月乃との間に、本当は何があったのか。
消えた記憶の奥に眠る答えは、二人分の想いごと、僕を待っている。