あらすじ

男爵令嬢ヨハンナの仕事は、夜だった。 三十二の寝台を一晩に四度歩き、呼吸と脈を聴いて、悪化の兆しを朝が来る前に拾う。そして翌朝の手当の順を決める。誰を先に、誰を後に。 昼のあいだ、兵はみな「大丈夫だ」と言う。だが夜になると、呼吸のほうが先に白状する。 戦功を焦る若き将軍レオポルドは、その順を「情のない選別」と呼んだ。功のある兵を先に治せば戦果が上がる——采配は軍が握り、ヨハンナは夜番の帳ごと病棟を追われる。 二月後。王都の傷病棟では、助かるはずの兵から先に死んでいった。 そして遺族が中庭に集まった日、軍書記は一冊の帳を読み上げることになる。 彼女が「後に」した兵の名の、その欄外に何が書かれていたのかを。

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カクヨム
カクヨム2026/07/31
  • 現在の作品夜番が消えて、死者だけが増えた