あらすじ
ある道場には、仲の良い2人の青年がいた。2人は親友であり切磋琢磨するような仲ではあったが、勝負をして勝つのはいつも、小柄な青年の葵(あおい)で、いつも負けているのは葵より身長も高く、体格もいい青年の颯(はやて)だ。2人は小さい頃から同じ道場で習い、育ってきた。道場が休み日でも、来る日も来る日も2人で飽きもせず特訓する日々。だが、葵は時々憂いを帯びたような、悲しそうな、影あるような……そんな表情を見せる時があった。
『お前はいいよな』
『自由な人生って羨ましい』
『俺も何も気にせず生きられたら楽だろうな』
葵がそんな表情を見せる時は、まるで自分には自由になれない、生きたいように生きれる、そんなお前が羨ましい。そう言っているみたいだった。2人は来る日も来る日も一緒に練習して、祭りがある日には一緒に行って楽しむこともあり、葵も自由そのものの暮らしをしているはずなのに、なぜそんな表情でそんなことを言うのか、まるで颯には理解ができなかった。そんないつも通りの日々を過ごしていたある日、颯は葵の言葉の意味を知ることとなった。
1人の青年は今、1人の親友の為に立ち上がるーーー。