あらすじ
旦那様の靴の踵が、左だけ減っておりました。うちの階段では、そんな減り方はいたしません。
十年、この家の男たちの靴は全部わたくしが作ってまいりました。ですから離縁状に署名した日、木型をすべて持って出ました。木型は、彫った職人のものですので。
辺境で工房を開いたわたくしのもとに、十年まともに歩けていない辺境伯さまがいらっしゃいます。——その頃、王都では。合う靴が一足もなくなった旦那様が、儀典の列で膝を折られたそうでございます。
責めてはおりません。ただ、お返しできないだけです。
ハッピーエンド保証です。
声を荒らげない静かなスカッとと、足の話でしか気持ちを言えない不器用な恋がお好きな方へ。