あらすじ
十二億円が当たったら、会社を辞めて、小説を書く。
そう決めたまま十年。
三十四歳になった私は、今年もサマージャンボ宝くじを買った。
欲しい家、旅行、親孝行、見栄、自由。ありったけの欲望を宝くじに預け、当せん発表までの夢を生きる。
それが、変わらない毎日を耐えるための習慣だった。
けれど、引き出しから落ちた昔のメモに、「小説を書く」という一行を見つける。
いつから私は、十二億円がなければ、好きなことさえ始められないと思っていたのだろう。
宝くじの当せんを待っていた女が、自分の手で人生の最初の一歩を踏み出す物語。