あらすじ

聖環帝国の南東、岩塩街道の谷。九人に減った傭兵隊が、峠下の村で冬営に入る。 秋に出たときは十二人だった。ひとりは川に、ひとりは熱に。そしてひとりは―― 歩けなくなった仲間は、置いていく。恥だと言う者はいない。この稼業では、そういうことになっている。 賄い方のメルテンは、隊の粉と椀を数える男だ。 峠の晩に、「担いで行けば粉が尽きる」という数字を出したのもメルテンだった。 冬が深まる。配った覚えのない椀が濡れている。酔った仲間が、霧の木立の際に裸足の男を見たと言う。置いてきた男の靴を貰った新入りが、靴を履かなくなる。どの話にも説明はつく。つくことを、誰も確かめない。 幽霊は出ない――と言い切れる者は、この隊にはいない。 負い目と、合わない勘定をめぐる、冬のダークファンタジー。約1.7万字。全5話。

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カクヨム
カクヨム2026/07/31
  • 現在の作品峠の勘定