あらすじ
火星。そこは赤茶けた大地が果てしなく広がる荒廃した惑星。大きさは地球のおよそ半分、重力もまた半分以下。大気の主成分は二酸化炭素で、気圧は地球の一パーセントにも満たず、ほとんど真空に近い環境である。平均気温は氷点下約六十度前後。空には二つの小さな衛星が浮かび、地下深くには氷が眠っている。かつて人類はその氷の中に生命の痕跡を見出せるのではないかと期待していた。
だが、時が流れ、宇宙開発技術は進歩し、惑星探査が本格化するにつれて、火星の価値は低いものと評価されるようになった。資源は乏しく、居住環境としてはあまりにも過酷で莫大な開発費に見合う利益が見込めない、と。
しかし、あるとき人類はその惑星に一つの用途を見出した。
墓である。