あらすじ
何でもできる侯爵令嬢リディアには、ひとつだけ足りないものがあった。心が動く瞬間だ。
婚約者である第一王子ユリアンの屋敷で開かれた夜会の夜、リディアはバルコニーから転落し、意識を失う。二日後に目を覚ました彼女を待っていたのは、専属侍女マリーが「犯人」として処刑を待つ姿だった。
だが、状況を見た瞬間リディアは違和感を覚える。なぜ手すりは、植え込みの上でだけ折れるように仕組まれていたのか。なぜ、確実に殺せる方法がいくらでもあったはずなのに、犯人はそうしなかったのか。
――そこにあるのは、殺意ではない。
退屈しきっていたはずの日常に、久方ぶりの熱が灯る。侍女の命を救うため、そして何より自分自身のために、リディアは残された猶予、たった三日で真犯人を暴くことを決意する。
犯人はなぜ、私を殺さなかったのか。その問いの先に待っていたのは、誰も予想しなかった動機と、もうひとつの企みだった。