あらすじ
私の中学には、落とし物を持ち主に届けるためだけの部活がある。
正式名称は拾得物管理部。通称、おとどけ部。
気付いても拾わない。余計なことはしない。
それが私──相楽真昼の生き方だったのに。
転校生の日々木ひな子が「それ、ほっとけないよ!」と言うから、私はいつも巻きこまれてしまう。
六月の廊下に落ちていた、片方だけの赤い手袋。
毎週月曜、げた箱の上に置かれる五百円玉。
誰もいないのに蓋の開いている、音楽室のピアノ。
そして、おとしもの箱の底には。
三十年間、持ち主の現れない無題の楽譜が眠っていた。