あらすじ
ある日、警察署の事務係の羽栗は、半年前から南町で失踪者が増えていることに気がつく。その失踪者全員が17歳から22歳の若者であり、全員が捜索願が出された当日から一週間後までに、発見されるか何事もなかったかのように家に帰っている。
その日も二人の若い失踪者……伏屋泣園(ふせやきゅうえん)と上印食乃仲(かみいんじきのなか)の捜索願が、その小さな、怠惰な、不機嫌な警察署に届けられた。
伏屋と上印食も例に漏れず無事に発見されたが、羽栗は好奇心を抑えられず、この事件に関して個人として調査することにする。
そして、伏屋と上印食が神社の境内でコソコソ話をしているところを羽栗は目撃する。何を話しているのかと耳を澄ましていたそのとき、彼らは同時に、自らの喉に刃物を突き立てたのである。
そして、そこから噴き出したのは血ではなかった。それは。……
これは、南町に住む若者たちが、望まぬ救済にそむき、歯向かう物語。
以下、登場人物の名前のイントネーション(アクセント)一覧。
伏屋(ふせや)は「電気」と同じ。泣園(きゅうえん)は「文学」と同じ。
上印食(かみいんじき)は「金婚式」と同じ。乃仲(のなか)は「電気」と同じ。
羽栗(はぐり)は「電気」と同じ。鷹時(たかとき)は「雪国」と同じ。