あらすじ
以前から、ぼんやりと頭の中を漂い続けてきた刑事モノが、ゴルトベルク変奏曲を聴いた時、ドラマとして動き出しました。
それはしばらくの間、ハッキリと思い出して楽しむことができていましたが、時が経つにつれて段々と、しかも確実に記憶が薄れていく恐怖を感じるようになっていきました。
この映像が完全に消え去ってしまう前に、何らかの形で残したい・・・そう思って、とりあえずセリフだけでもメモしておこうと、大学ノートに書き留めることにしました。
そうこうしているうちに、どうせならゴルトベルク変奏曲の1変奏ずつの演奏時間を、それぞれの話の長さに反映させたり、曲の雰囲気と話の内容を、もっともっと近づけることができるのではないかと思い、さすがに完璧とまではいきませんでしたが、全体的なつじつまを優先させながらも、それぞれの変奏が、それぞれの話のBGMとして、ふさわしくなるように仕上がっていると思います。
是非、実際にゴルトベルク変奏曲を聴きながら、お読みいただきたいです。
小説の内容としては、1人の新米刑事の日常が、ある出来事をきっかけに、過去や周りの人たちと徐々に変奏していく・・・特段の派手さもなく、大きな事件もない・・・ゴルトベルク変奏曲らしい、質の良い睡眠へ導くための、極めて刺激の少ない短編になっています。
ジャンルは、最終的にミステリーということにしましたが、何か難しい謎を解くということではなく、登場人物それぞれが、答えの見付からない問いに巻き込まれていく感じです。きっと誰かしらに感情移入していただけると思います。