あらすじ
「君の鉛筆を折った令嬢の家を、潰してもいいか」
紙一枚、鉛筆一本を用意することさえ難しい貧乏子爵令嬢エルナは、明るくさばさばしており、相手の身分に関係なく、間違っていることは間違っているとはっきり告げる女性だった。
ある日、社交界で〈辺境の狂犬〉と恐れられるラインハルト侯爵令息が、子供まで平然と殺したという噂を聞いたエルナは、戦闘報告書に記された真実を皆の前で明かす。
翌朝、エルナの寄宿舎へ届いたのは、文具店一軒分もの紙と鉛筆だった。
それ以来ラインハルトは、エルナを見張り、守り、彼女を傷つけた者の家を丸ごと潰そうとする。粗野で乱暴、敵小隊を単身で全滅させた男なのに、エルナが「嫌」と言えば、どれほど怒っていても必ず止まる。
そしてエルナもまた、自分の使い古した鉛筆さえ捨てられない彼の不器用な執着に、少しずつ心を動かされていく。
やがて救済金の横領を見抜いたエルナが襲われ、〈狂犬〉の本性が牙をむく。
「君が嫌だと言えば止まる。だが、愛することだけは止められない」
さばさばした貧乏子爵令嬢と、愛情の適量を知らない強面侯爵令息の、重すぎる執着溺愛ラブコメ。