あらすじ
自動車会社を率いてきた男、細川右吉。
病に倒れた彼が人生の最後に残した未練は、富でも権力でもなかった。
「この先、人類がどんな未来を作るのか――もっと見たかった」
死後、異世界の神から転生の機会を与えられた右吉は、一つだけ特別な力を授けると言われる。
強靭な肉体か。
権力か。
莫大な富か。
右吉が選んだのは――『知識』だった。
こうして彼は、地球の2026年までの知識を持ったまま、中世ヨーロッパほどの文明しかない異世界へ転生する。
新しい名前は、エリック。
辺境の小さな村に暮らす、大工の息子だった。
水道もない。
電気もない。
まともな工作機械すらない。
頭の中には自動車の作り方さえある。
だが、知っていることと、作れることはまったく違う。
材料がない。
工具がない。
技術者がいない。
そして何より――自分はまだ子供だった。
ならば、一つずつ作ればいい。
始まりは、母の水汲みを楽にするための小さな発明――手押しポンプ。
やがてその小さな発明は、職人を、商人を、貴族を、そして国そのものを動かしていく。
これは、未来をもっと見たかった一人の男が、
文明の遅れた異世界で、今度は自らの手で『未来を作る側』になる物語。
手押しポンプから、いつか自動車へ。
転生発明家エリックの、長いものづくり人生が始まる。