あらすじ
八歳の少年シオンは、ある日突然、世界から消えた。
辿り着いたのは、空も大地も、生き物さえも常識が通用しない異界――後に《陰界》と呼ばれる場所だった。
帰る方法はない。それでもシオンは諦めなかった。
生き延びるために戦い、陰界で出会った者たちから技と知識を受け継ぎながら、ひたすら故郷へ帰る方法を探し続ける。
そして、およそ百年。
突如として発生した大規模な世界の揺らぎを利用し、シオンはついに陽界への帰還を果たす。
しかし、そこにあったのは彼の知る故郷ではなかった。
かつて暮らしていた王国は歴史の中へ消え、家族も友人も百年前の人間となっていた。そして帰還と時を同じくして、世界各地には正体不明の亀裂が出現。そこから、これまでの魔物とは明らかに異なる未知の存在が現れ始める。
一方、百年間を陰界で生き抜いたシオンにとって、現代の常識では脅威とされる怪物も、魔法も、世界を歪める未知の力さえ、どこか見覚えのあるものばかりだった。
本人はまだ知らない。
ただ帰るために必死で生き続けた百年が、自分をこの世界の常識では測れない存在へ変えていたことを。
そして、シオンの帰還と同じ日に始まった異変が、やがて無数の世界を巻き込む争いへ繋がっていくことを。
これは、帰るために百年を生きた少年が、失われた故郷で新たな仲間と出会い――今度は、大切なものを守るために生きていく物語。