あらすじ
城壁都市ディアカルムの下層で、何も持たずに生きてきたエレナ。
ある日、その美貌を貴族アルヴィンに見初められたことで、彼女の人生は一変する。綺麗な服、温かな部屋、毎日の食事。与えられるものすべてを、エレナは「愛されている証」だと思っていた。
けれど、その幸せは突然終わる。
死んだエレナの前に現れたのは、メルキオと名乗る悪魔だった。
生き返る代わりに与えられたのは、美しい顔ではない。
人々から醜いと罵られる顔と――侮辱されるたび、その手に生まれる一枚の金貨。
最初は忌み嫌った金貨だった。
しかし金さえあれば、食べ物が買える。宿に泊まれる。家も買える。自分を笑う人間さえ、金を払う客に変えられる。そして孤独を埋めてくれる美しい男さえ買うことができる。
やがてエレナは、金では買えないものを差し出す男と出会う。
それは、彼女がずっと欲しかったはずのものだった。
愛と金。
安全と幸福。
欲しいものと、本当に必要なもの。
何も選べなかった女が、自分の人生を自分で選ぶまでの物語。