あらすじ
前世で山岳救助隊員だった青年、ユアン・レイス。異世界に転生した彼が授かったのは、登録した仲間を安全地帯へ戻すだけのF級スキル《撤収》だった。
攻撃力はゼロ。経験値も得られない。「逃げるためだけの外れスキル」と笑われながらも、ユアンはA級パーティーの帰還係として仲間を支えてきた。だが、崩落の予兆を察して撤退を訴えた日、隊長はその言葉を無視する。五人で入った迷宮から帰れたのは、ユアンを含む二人だけ。それでも責任を負わされたのは、生き残ったユアンだった。
パーティーを追放された彼は、同じく「新人を逃がした臆病者」として騎士団を去った盾騎士リゼと出会う。
「だったら俺たちで、帰ることを恥じなくていい場所を作ろう」
二人が始めたのは、討伐ではなく生還を請け負う小さなギルド《帰還灯》。一度目の探索では情報を持ち帰り、二度目で罠を崩し、三度目で誰も失わず迷宮を攻略する。やがて《帰還灯》は、派手な勇者たちを押しのけて攻略率一位へ上り詰めていく。
しかし迷宮には、誰かが死ぬたび強くなる秘密があった。
これは、勝つことより帰ることを選び続けた男が、最後には世界中の命を連れ帰る物語。